表参道通信

  • 1997.04.07

    表参道通信その11 がんばれ北海道銀行

    表参道通信

     平成9年4月1日、出勤して事務所のデスクの上の日本経済新聞を見ると、目に飛び込んできたのが、1面トップの「北海道拓殖銀行と北海道銀行合併」のニュース。
    過激なエイプリルフール。

    昭和63年4月、事務所を開いたばかりの私は、渋谷、青山、原宿の銀行に片っ端から開業の挨拶回りをしていました。青山通りを歩きながら、骨董通りに目を向けると緑色の看板に『北海道銀行』の文字。高校卒業まで、北海道の函館に暮らした私でしたが、その頃は銀行というものにまったく縁が無く、北海道銀行という銀行を知りませんでした。毎日の事務所開業の挨拶回りで、最初の勢いも次第になくなってきていましたが、「北海道」の文字に惹かれ勇気を持って、ご挨拶に伺ってみました。

    そこで、最初に応対に出られたのが、偶然にも同じ函館出身の方でした。清潔そうでダンディで、そして函館弁なのでした。その後、毎日のように伺うことになりましたが、北海道銀行の男性行員は全員が北海道出身で、半年に1度くらいは北海道から新しい人が転勤してきて、3年くらいでまた北海道に帰ります。そして、そこには常にリフレッシュした北海道があるのでした。東京の青山にです。私はいつも仕事で伺うのですが、北海道の空気と言葉にすっかりくるまり、ついつい長居をしてしまい、いつか嫌なことや、きつかった事などを忘れてすっかり元気になり、また、この東京でやっていく勇気と力が湧いてくるのでした。

    どこの銀行でもそうですが、せっかく親しくなっても、皆さん3年くらいで転勤してしまいます。いまだに、その寂しさには馴れませんが、特に道銀の行員さんは「北海道に帰ること」を心待ちにしていて、この地で、何とかやっていこうと思っている私にはなんだか置いてきぼりにされるようで、寂しい思いをします。

    そして、銀行員というのは不思議なもので、プライベートは勿論違うのでしょうが、ビジネス上の顔は、それぞれの銀行のカラーがあります。どんな巨大銀行でも、同じ銀行のどこの支店に伺っても、同じカラーの行員さんがいます。同じタイプの人間を集めてしまう組織の強力な求心力と、教育の力を感じざるをえません。
    その中で北海道銀行の行員さんは、朴訥としてやさしく、人としてのつながりを大事にされるのです。皆さん本当にやさしいのです。

    ある日、いつものように融資課のカウンターに伺った私に、「実は・・・。」と、話されたのが、青山支店廃店の話でした。ご自分達の方が、当事者として大変であるはずなのに、とてもすまなそうに、申し分けなさそうに話されるのでした。
    その後、東京支店や新宿支店にも伺うようになりましたが、やはりそこは懐かしくて暖かい北海道です。

    そして、今度は拓銀さんとの合併の話です。
    東京にいると分かりませんが、北海道の主要都市の駅前には必ず北海道銀行と北海道拓殖銀行があります。隣り合っている店、向かい合っている店、かなりの支店の統廃合とリストラが予想されます。しかし、北海道では他をよせつけない段突トップの銀行になることも確かです。
    その北海道の新銀行を作っていくうえで、誰よりも北海道を愛してやまない道銀の行員さんの気持が、大きな力になるはずです。

    私にたくさんの力と勇気をくれた道銀さんの、何の力にもなれないことをとても残念に思います。

    誰よりも北海道を愛する心やさしき男達とその家族の方達に、明るい未来が待っていることを願ってやみません。

    がんばれ 北海道銀行!

     

  • 1997.03.03

    表参道通信その10 グレートムタ

    表参道通信

     最近は、毎週月曜日10時からの『SMAP×SMAP』をチョー真剣に見る以外は、とりたててテレビを見る事もないのですが、土曜日の深夜、寝ようかなと思っていながら、テレビをつけてしまったら、なんと、が出ていました。

    先週も、同じ時分に同じ事をして、獣神サンダーライガーと大谷の札幌での20何分にも及ぶ死闘を見てしまって、眠れなくなったのに、ああ、また同じ事をしてしまった。
    一時は、「新日本プロレス」から、馬場さんの「全日本」、たまにやる「全女」こと全日本女子プロレス、日曜日のお昼のK1、どうせなら「リン魂」(うっちゃん、ナンちゃんのナンちゃんがやってる、「リングの魂」という格闘技番組です。)も押さえなきゃと、それぞれビデオに撮って夕食を食べながら見たりしていましたが、最近は全然見なくなって、土曜日にやっているのも知りませんでした。

     で、グレート ムタですが、アナウンサーの解説によると、怪我で休んでいた越中との復帰戦とのこと。
    「でもどうして、グレート ムタなの?誰かグレート ムタの2代目にでもなったの?」
    疑問のまま、見ていると、ムタの後頭部を見た途端に分かってしまいました。
    「あの薄さは・・・・なんだ、やっぱり武藤じゃないの。」
    顔にペイントをし、赤い長ズボンをはいていても、後頭部は紛れもなく新日本のヒーロー、武藤なのでした。
    アメリカで、形勢不利となると謎の緑の粉を噴く悪役レスラーだったグレートムタも、日本に帰ってきて顔のペイントを落とし、赤パンツで爽やかにいいものレスラーになりました。確かに、デブの橋本より、スタイルもいいし、ちょっと甘いマスクでかっこいいので、猪木さんは武藤にトップを取らせるのかなと思っていました。その武藤が、とうとう橋本に新日本のトップを渡してヒール ムタに逆戻りしたのかと思ったら、そうでもないらしいのです。ヒーロー武藤はとりあえず置いといて、顔に色を塗ってここはムタになっているらしい。
    「そんな事アリなわけ?」と、見ていると、ムタの得意技「緑の粉吹き出し攻撃」が始まった。「いつ、粉を口に入れたんだろう?」
    おおーっと!今度はリングサイドのベンチを持ち出した。ちゃんとヒールになりきっている。
    でも結局、決め技は、いつもの武藤のランディング・ボディプレスなのは、ちょっと残念でした。ヒール ムタらしいエグイ技で思わず越中に同情が集まるようにもっていって欲しかったですね。
    で、驚いたのは、お客さんで、みんな分かっていて、ちゃーんと分かっていて、ムタとして応援してるんです。やさしい。ほんとにやさしい。みんな大人です。「ムトー!」なんて、声援は絶対にしない。団体の作り上げた虚構の世界に身を任せて、楽しむ。プロレス物語を楽しむ究極の秘訣を見ました。
    ムタが勝って、越中の復帰戦も無残に終わり、それぞれリングから退場しようとしていると、出てきました。牒野の軍団です。引き上げようとするムタに自分の着ているTシャツを脱ぎ、渡そうとします。ヒール ムタに悪役の仲間になれという、パフォーマンスらしいのです。
    「ムタが、ここで仲間になったら・・・・エー!武藤はどうなっちゃうの?」
    人間関係鳥瞰図を頭に浮かべながら、ワクワク事の成り行きを見守っていると、よりによってアナウンサー、「こーれは、入れないですよね。ムタは新日本の武藤なんですからね。」

    「んなことは、分かってるんだよ!」
    思わず、テレビに向かって声を荒げる土曜日深夜の私でした。

  • 1997.02.04

    表参道通信その 9 まったくもって勇気のない話

    表参道通信

     今日は立春です。そうはいっても、毎年、立春をすぎた頃から強烈に寒い日が何日か来ます。
    ちょうど去年の今頃も-40度以上の寒気団が上空にあって、もう本当にむちゃくちゃに寒い日が何日かありました。強烈に冷たい風に歯を食いしばりながら、書類のお預かりやら、お届けやらをして帰ってきて、一人事務所に残って仕事をしていたら、いつも聞いているJ-WAVEでは今夜もかなり冷え込むというニュース。私はこんなに寒くてはきっと死人が出るのでは、と思い、友達に
    「ホッカイロを買って、新宿のホームレスの人達に配りに行こう。」と、電話を掛けました。
    「えー、やだ。寒いからヤダ。明日にしたらー。」と、友達はのんきなもんです。
    「寒いから、ホッカイロがいるんじゃないの!今夜の寒さを乗り越えられないかもしれないんだよ。明日じゃ間に合わないよ。」
    すっかり憤慨した私は、近くのコンビニでありったけのホッカイロを買いました。それでも3000円位のものです。
    「こんな、ささやかなもので人の命が救える!」私の気持は盛り上がるばかりです。
    コンビニの袋をぶら下げた私は、すっかり正義に燃えているのですが、それでも新宿の西口のたくさんいるホームレスの人達の所に独りで行く勇気はなく、
    「よし!渋谷駅の地下道に行こう。」と、決め、いつもの通勤電車を途中下車しました。
    渋谷の地下道では、寒さをしのぐためか、みんな酔っ払いで、そのうえなんだかどう見てもホームレスの人じゃない人まで混じって宴会をしてるようなんです。地下道をホッカイロの入ったコンビニの袋を持って、しばらく行ったり来たりしていましたが、どうしてもその人達に近づいて行けません。なんだか恐いし、そして臭いのです。
    やっと、一人でうずくまっている女性に「これ・・・・これ・・使って下さい。」
    と、1個渡しました。その女性も、酔っているようで温泉卵のようによどんだ目で、自分の手の中のホッカイロを見て、また元のように膝を抱えてうずくまってしまいました。ほんとに使ってもらえるか、心配になりましたが、逃げるようにして帰ってきました。
    次の日の朝、その女性が年下のボーイフレンドと2人で嬉しそうに、渋谷駅のごみ箱をあさっているのを見て、ほっとしました。
    あの日に買ったたくさんのホッカイロは、あのままあります。見ると、とても情けない思いがするので目の付かないところに押し込んでしまいました。私は良いと思った事、するべきだと思った事も実行出来ないのです。今年は、そんなに寒くならなければいいなと思います。私には、ホッカイロさえも配る勇気がないのだということを、思い知らされたくないのです。


  • 1997.01.28

    表参道通信その 8 「ビオレ毛穴すっきりパック」

    表参道通信

     花王の「ビオレ毛穴すっきりパック」というのをご存知でしょうか。
    「毛穴の黒ずみ1度ですっきり!」といううたい文句で出ている、鼻の頭の毛穴の黒ずみを取るパックです。
    日経の1996年の新製品の東西対決かなんかで、何か賞を取っていたかと思いますが、売れているらしいです。渋谷のドラックストアー、「マツキヨ」ことマツモトキヨシでは一時売り切れて手に入りませんでした。が、今ではたいていのスーパーのレジ近くにガムや電池なんかと一緒に置いてあったりします。
    この間、試してみましたが、これがまたすごいのです。鼻の頭を水に濡らして、そこに白いシートを貼って、待つ事10分。シートが固くなったところで静かにはがします。すると、思わず「うわー。」とか、「ぐえー。」とか声が出ます。そこには白いシートに剣山のごとくそびえたつ角栓がいっぱいなのです。某有名化粧品メーカーの、わけの分からない液体を塗って、それが乾かない内にぬるぬるした白いパックを塗って、それが乾いたらはがして、というくそめんどくさい割には、収穫の少ないパックとは大違いです。貼ってはがすだけ。そのうえ10枚入り600円。
    吸着シートで埃を立てずに埃を吸着する「クイックルワイパー」や、アイロンがスムーズに出来る「スムーサー」もすごかったけれど、相変わらず花王の新製品開発力はすごいです。

     もし結婚する相手が、こういう感動を共有できる人で、一緒に2人で鼻の頭に白いシートを貼って、10分後に「勝負!」。その後、「どひゃー!」とか「ぐえー!」とか言いつつ笑いあえたら、楽しい家庭が出来そうですね。


  • 1997.01.24

    表参道通信その 7 今年の抱負「ポジティブ あみん」

    表参道通信

     司法書士は本来「待ち」の仕事。もし登記をしようとする人やその他の手続きをしようとする人がいれば、その手続を代行する事になりますが、まさか、しなくてもよい手続きを無理に奨めるわけにもいきません。
    「まーつーわー。いつまでもまーつーわー。」今は懐かしいあの『あみん』状態です。
    あみんの1人だった岡村孝子もめでたくもつい最近、プロ野球の石毛選手と結婚しましたが、あの歌はあまりにも暗すぎます。
    そこで、あくまでも明るく、前向きに、エンジン吹かしのアイドリング状態。そう!チャンスがあればいつでもGet!の「ポジティブ あみん」を目指そうと思います。

    「ポジティブ あみん」を目指す心得

    1、 健康・体力 健康で体力がなければ気持も明るくなりません。
    2、 冷静な判断力 より大きなチャンスをつかむ時は、浮き足立ってはなりません。そういう時ほど冷静に。
    3、 知力 待ちの状態は知識や知恵を貯えるチャンス。ただ待っているのではなくその時間に研究、調査、情報収集に努めます。