株式

  • 2014.05.21

    株式譲渡制限の定めの設定と株券を発行する旨の定めの廃止

    ブログ 人生100年日記, 株式

    昭和30年代に設立した株式会社には、たまに「株式譲渡制限の定めのない会社」があります。それほど大きな会社ではないのに、いわゆる「公開会社」になっています。株主も少なく、株の譲渡につき問題になる事も無かったので公開会社のままで来ているのだと思います。

    ただ、平成18年の改正会社法は株式譲渡制限のあるいわゆる「非公開会社」には、機関設計の自由度も増しますし、役員の任期も10年まで延長が可能だったりしますので「株式の譲渡制限の定めの設定」をお奨めしています。

    この手続きは定款の変更になりますので、定款全体の見直しもします。その場合、株券発行会社を株券不発行会社に変更する事も一緒にします。その方が今後の色々な手続きがより簡素化できるからです。

    この株式の譲渡制限の定めの設定の手続きと、株券を発行する旨の定めの廃止の手続きには、両方等も株券提供公告が必要になります。(会社法第219条第1項、第218条第1項)

    しかし、一緒に手続きを進めていく場合、株式譲渡制限の定めの設定の方の公告が不要になる場合があります。会社法第219条第1項で、株券不発行会社は公告は不要となっているからです。株主総会の決議で、株券を発行する旨の定めの廃止の効力発生を条件に、株式譲渡制限の定めの設定の効力が発生するようにすれば、結局、株券不発行会社になっているので株式譲渡制限の定めの設定に必要な株券提供公告は不要という事になります。

  • 2009.01.08

    株券の電子化に伴う定款変更と登記

    ブログ 人生100年日記, 株式

    上場会社は株券の電子化に伴う手続きを去年から進めていると思います。

    保管振替利用会社は平成21年1月5日に株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款変更の決議をしたものとみなす事とされています。(決済合理化法附則6条1項)みなす事とされているため実際の決議は不要ですが、株券を発行する旨は登記事項なので、その廃止の登記の申請を2週間以内にする必要があります。(会社法915条1項、911条3項10号)

    この変更登記には商業登記法63条の書類に代えて、定款の変更の決議をしたものとみなされる場合に該当する事を証する書面を添付しなければいけません。(決済合理化法附則6条7項)
    この証明書は、㈱証券保管振替機構より会社宛に発行されます。

    見本が2008年11月5日発行の商事法務NO.1847の6ページに掲載されています。

  • 2006.08.10

    募集株式の発行

    ブログ 人生100年日記, 株式

    ■   今日のメニュー
     ■■━━━━━━━━━━━━━━━━

    1. 募集株式の発行
    2. あとがき  昔懐かしい「ぽっくりさん」を履いたら・・

    【 募集株式の発行 】

    ◆旧商法では「新株の発行」と規定していて,一般には「増資」なんて言い方もしていましたが、新会社法では「募集株式の発行」と規定されています。

    言葉が変わるという事は、手続きも変わっているのですが、まあ、大体今で「新株発行」や「増資」や一番ケースとして多いので「第三者割当」などと言ってしまっています。

    呼び方についてのこの辺の整理がどう進むのかは、これからの世の中の流れによります。ハヤリスタリもあります。

    ただ、一般に言われている事が、法律上の正式名がどうなっているのか知っていないと六法全書を見ても条文が引けません。

    例えば、多額の報酬を得て世間を騒がせた「ストックオプション」は商法上には規定が無い、海外の流行の金融商品だと思っていたらナント!商法上の「新株予約権」だったりします。

    ◆募集株式の発行の手続きを簡単にまとめると以下です。

    【非公開 取締役会設置会社の場合】(一番多いケースです)

    ○非公開会社においては2週間の公告は不要。
    ○株主総会の招集通知の発送期間も1週間前となったので旧法よりも期間短縮が可能

    1. 取締役会開催(298条4項) 議案①募集事項の決定
      議案②株主総会開催の件
    2. 株主総会招集通知発送(299条2項)
      中1週間(299条1項)
    3. 株主総会開催(199条)   議案 募集事項の決定
    4. 会社から募集株式の引受の申込みをする者に対する通知(203条1項)
    5. 申込人から募集株式の引受の申込みを証する書面を会社に交付(203条2項)
    6. 取締役会開催(204条1項、2項)  議案 募集株式の割当
    7. 会社から割当を受ける者に対して通知(204条3項)
    8. 払込期間内に会社の銀行口座に振り込み(208条1項)
    9. 登記申請 2週間以内(915条1項)

    【登記必要書類】

    1. 株主総会議事録
    1. 募集株式の引受の申込を証する書面
    1. 取締役会議事録
    1. 資本金の払い込みのあったことの証明書
    1. 会社計算規則37条の証明書
    1. 委任状

    ◆一番変わった所は、「募集事項の決定」と「募集株式の割当」と分かれた事です。

    旧商法では株式譲渡制限のある株式会社は株主総会で第三者割当の承認決議をして、その後の取締役会で第3者割当の割当先や割当数その他細部の決定をしていました。その後に株式の申込があり、銀行に資金を払い込みました。

    新会社法では、まず募集株式の発行決議をしてその内容を通知します。
    株主になりたい人は、募集株式の引受の申込みをします。その後、会社は取締役会を開催して申込者の中から株の割当決議をします。

    譲渡制限のある非公開会社などは、初めから株主になる者が決まっているのが普通ですが新会社法上は後日の取締役会で改めて割当先の決定をする事になりました。

    ◆次に変わった所は銀行の払込金保管証明書が不要になった所です。
    株式申込金は会社名義の銀行の通帳に入金すれば良くなりました。

    この点についてはこのブログに以前書きました。
    バックナンバーは「設立」のカテゴリーにあります。

     ■ あとがき   昔懐かしい「ぽっくりさん」を履いたら・・ 
     ■■━━━━━━━━━━━━━━━━

    ご存知ですか?

    今年、20年位前に流行った靴底とヒールがつながって側面を藁みたいので巻いたサンダルがまた出てるんです。

    靴底から高さがあるのでヒールの高さが8センチくらいでも脚が楽なのですが、ぐぎぃっっ!と横に倒れると足首を捻挫して、大流行した昔は危険なので履かない様にと問題になったりもしました。

    春先から表参道のエチカや原宿ワシントンなどに出始めて、今年は流行の兆しと、ねらっていました。

    背が高くなる上に、ヒールの傾斜が緩やかで楽にはける。
    捻挫なんて気にしない。

    梅雨がやっと終わって青空が見えたある朝、白いパンツに買ったばかりのその白いサンダルを履いてみました。

    ナント、電車のつり革が簡単に捕まる。中吊広告が良く見える。
    心なしか車内の空気も良いような気がする。
    表参道を少し上から眺めて、道路も広くなったような。
    自分がでかくなったような。空も青いぞ。

    事務所に着いてサンダルを脱いでスリッパを履いたら、あえなくいつもの目線に戻った私でした。

    そのうえ白いパンツの裾を引きずる。

  • 2006.06.13

    株券発行の定めの廃止

    ブログ 人生100年日記, 株式

    ■   今日のメニュー
    ■■━━━━━━━━━━━━━━━━

    1. 株券発行の定めの廃止の手続き
    2. あとがき お薦め情報

    【 株券を発行する旨の定款の定めの廃止の手続き 】

    ◆本年5月1日以降、株式会社の登記簿謄本を取って見た方はいつの間にか登記簿に「株券を発行する旨の定め」 として「当会社の株式については、株券を発行する」と記載されてびっくりしたかもしれません。株券を印刷して発行しなければいけないの?とあわてたかもしれません。

    旧商法では株式会社は株券を発行するのが原則で、株券を発行しない会社は定款に「株券不発行の旨」を定め、登記簿にわざわざ「株券不発行の旨」を登記しなければいけませんでした。

    本年5月1日施行の新会社法ではその原則が逆転し、「株券不発行」が原則となり、定款に「株券を発行する旨」を定め、その登記をしなければ株券不発行の会社という事になりました。ですから、今、5月1日以降に交付された株式会社の登記簿謄本を見て、株券について何も記載が無ければ「株券不発行」の会社です。

    しかし、5月1日以前からある既存の株式会社は「株券を発行する」のが原則の商法の元で設立した会社なので「株券不発行の定め」を登記していない限り、登記所の職権で「株券を発行する旨の定め」が登記されています。

    今までも上場会社でもない限り株券を実際に発行する会社はほとんどありませんでした。法律を実情に合わせた変更といえます。また、上場会社の株式でもいずれは株券という紙ではなく振替制度による株式のコンピューター管理を予定しているようです。

    ◆「当会社の株式については、株券を発行する」と登記されたので実際に株券を発行しなければいけないか?

    非公開会社(株式の譲渡制限の規定のある会社)は株主から請求がある時までは、株券を発行しないでいることが出来ます。(会社法第215条第4項)

    ◆「株券不発行会社」になるにはどうするか?

    定款にも株券を発行する旨の定めがあると看做されているので(整備法76条4項)定款を変更して株券を発行する旨の定めの廃止とその登記をしなければいけません。

    その手続きは実際に株券を発行している会社と実際には株券を発行していない会社で違います。

    ◆手続きは以下です。

    ■ 実際に株券を発行している会社

    1. 株券を発行する旨の定款の定めの廃止の効力発生日を決定
    2. 上記効力発生日の2週間前までに公告し、株主及び登録株式質権者に 各別に通知(会社法218条1項)
    3. 株主総会開催―議案 定款変更 (会社法466条)
    4. 登記申請

      【登記必要書類】

      1. 株主総会議事録(商業登記法46条)
      2. 公告をしたことを証する書面(商業登記法63条)  *官報、新聞等
      3. 委任状

    ■ 実際には株券を発行していない会社
    (まったく発行したことが無い会社 株券不所持会社)

    1. 株券を発行する旨の定款の定めの廃止の効力発生日を決定
    2. 上記効力発生日の2週間前までに株主及び登録株式質権者に各別に通知(会社法218条3項)
    3. 株主総会開催―議案 定款変更 (会社法466条)
    4. 登記申請

      【登記必要書類】

      1. 株主総会議事録(商業登記法46条)
      2. 株式の全部について株券を発行していないことを証する書面(商業登記法63条)
        *株主名簿に代取の証明書を綴じて割印
      3. 委任状

    ●スムーズに手続きを進める方法
     株主総会開催日を効力発生日にして、株主に対する各別の通知は2週間前に株主総会の招集通知に含めて発送する。
    実際に株券を発行している会社は、あらかじめ公告手続きを進めて、株主総会開催日には2週間の公告期間が満了しているように設定すると株主総会開催日に効力が発生する。
     株主総会開催日の次の日には登記の申請が出来ます。

    ■ お薦め情報 法務担当者必見!
     ■■━━━━━━━━━━━━━━━━

    ブログのご紹介
    【会社法であそぼ】
    http://blog.livedoor.jp/masami_hadama/
    法務省民事局付検事 葉玉先生のブログ
    会社法の駆け込み寺。目から鱗がぼろぼろ落ちます。
    私のデスクは鱗の山です。感動の涙です。