新興上場企業に思わぬ影響

ブログ 人生100年日記, 監査役

◆譲渡制限の無い資本金1億円以下の株式会社の監査役の任期は改正会社法施行時に任期満了する。

この件に関して以前(4月10日のブログ・カテゴリー 監査役)にも書きました。

株式の譲渡制限の設定の規定の無かった頃に設立された資本金1億円以下の古い会社が問題になると書きました。実際に、この問題を回避するために会社法施行前に急ぎ臨時株主総会を開催して株式の譲渡制限の設定の登記をした会社もあります。

しかし、新興上場企業も問題になるようです。

日本経済新聞に「5月1日施行の新会社法が新興上場企業に思わぬ影響を及ぼしている。」と東証マザーズ上場の株式会社の例を掲載していました。

この会社のホームページのIR情報によると、

平成18 年5 月1 日付の会社法の施行に伴い、従来の会計監査権限のみの現任3名の監査役は任期満了の取扱いとなり、監査役の法定員数を欠くこととなりました。現在、監査役の人選を慎重に行っており、人選が確定次第、東京地方裁判所へ仮監査役選任の申請を行う予定、ということです。

この会社は、平成17 年12 月の増資により現在は資本金が1億円を越えて小会社(資本金1 億円以下かつ負債総額200億円未満の株式会社)ではなくなりました。

しかし、その後最初に到来する決算期の定時株主総会の終結時点までは小会社特例規定が適用されます。(商法特例法26 条1 項)
従って、この会社の監査役は会計監査権限しか無く、新会社法が予定する業務監査権限が無いので監査役は新会社法施行の本年5月1日に退任する事になりました。

で、本年5月1日には監査役がいないことになりましたので、こういう会社は急ぎ臨時株主総会を開催して監査役を選任するか、臨時株主総会の開催が困難な時は裁判所に仮監査役の選任を申請することになります。

[注意!]
顧問先を抱える会計事務所、新興上場会社の総務、法務部門の方、会社の登記簿を確認して下さい。現在資本金が1億円以上の会社でも商法特例法26条1 項の適用があって監査役の任期について公開小会社と同じ扱いになる場合があります。