表参道通信その33 気分はミーハー

表参道通信

 またまた、キムタクを見ました。あのキムタクです。毎週日曜日夜9時からの連続ドラマ「ビューティフルライフ」の撮影です。2月5日のまだ人の少ない土曜日の午前中です。場所は表参道。キムタクは例の青いバイクに乗って表参道を何度も走っていました。 「ビューティフルライフ」は青山にある美容院に勤める美容師と車椅子の図書館司書の恋愛ドラマです。毎週その時間はテレビにかぶりつきです。

 実は去年の暮れにも、表参道に新しく出来たアニヴェルセル表参道の前で撮影をしていました。仕事の途中で食事に出たら、アニヴェルセル表参道の前は、通行制限がされていました。しょっちゅうそういうことがあるので「なーに、また撮影?どうして止まって待っていなきゃなんないのよ。」と空腹時は特に人格的に険悪になる私。ただ黙って立っているのも悔しいので、撮影スタッフがぐるり囲んで見つめているテレビモニターをその後ろから覗き込んだりしていました。モニターを見ても男性が2人話し込んでいるような様子が映っているだけで、誰を撮影しているのか分かりません。

 そうこうしているうちに、「カーット!」になって、通行止め解除です。「 ったく。」と思いつつ、他の人達と一緒に歩きはじめると、どこかで見たことのある役者さん。「えーっと、誰だっけ。」と思いつつその顔をまじまじと見上げながらその人とすれ違い、ふと視線を落として道端を見ると、あの、あのキムタクが街路樹の欅の下のフェンスに座っているではないですか!

 「キ、キ、キムタクだ!」やっと会えた。やっと会えました。「ぷっすま」で青山ダイヤモンドホールの前で道行く女の子にクイズを出すキムタクを見た時、タモリの番組でアニヴェルセル表参道の一階のオープンカフェでタモリとぼんやりお茶を飲んでいるキムタクを見た時、「スマスマ」で白いウエアで自転車に乗り、表参道を明 治通りを超え青山方向へ疾走するキムタクを見た時、どうして、どうして私はその時その場所に居合わせなかったんだろうと心底悔しい思いをしていました。それがそれが目の前にキムタクです。座っています。笑っています。

 「立ち止まらないで下さい、立ち止まらないで下さい。」という交通整理係のスタッフの声に追い立てられます。立ち止まりません。ただ、キムタクの前を通り過ぎたらくるりと向きを変え、またもう一度キムタクの前を通りました。目はもちろんキムタクに釘付けです。「あ、笑っている。私に笑いかけてる……」としか思えない。

 テレビで見て思っていたより実物は小さかったり、ものすごく痩せていたり、顔色が悪かったりで結構貧弱な印象を受ける芸能人が多い中で、キムタクは思っていたよりがっしりとしていました。ジーンズにフリースであのくしゃくしゃの髪で、撮影用 のメイクもしていないようでした。

 ここ表参道周辺ではどんなに有名な人がいても「アラ、また撮影?有名人なんか見慣れてるわよ。」という風にしているのがお約束です。だから、そんなに人だかりにならないし、サインを求める人も、写真を撮る人も居ません。でもキムタクに限ってはそんなお約束なんかしていられません。今度は写真くらいは撮りたいものです。キムタクの生写真!