ブログ 人生100年日記
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2006.06.13
株券発行の定めの廃止
■ 今日のメニュー
■■━━━━━━━━━━━━━━━━- 株券発行の定めの廃止の手続き
- あとがき お薦め情報
【 株券を発行する旨の定款の定めの廃止の手続き 】
◆本年5月1日以降、株式会社の登記簿謄本を取って見た方はいつの間にか登記簿に「株券を発行する旨の定め」 として「当会社の株式については、株券を発行する」と記載されてびっくりしたかもしれません。株券を印刷して発行しなければいけないの?とあわてたかもしれません。
旧商法では株式会社は株券を発行するのが原則で、株券を発行しない会社は定款に「株券不発行の旨」を定め、登記簿にわざわざ「株券不発行の旨」を登記しなければいけませんでした。
本年5月1日施行の新会社法ではその原則が逆転し、「株券不発行」が原則となり、定款に「株券を発行する旨」を定め、その登記をしなければ株券不発行の会社という事になりました。ですから、今、5月1日以降に交付された株式会社の登記簿謄本を見て、株券について何も記載が無ければ「株券不発行」の会社です。
しかし、5月1日以前からある既存の株式会社は「株券を発行する」のが原則の商法の元で設立した会社なので「株券不発行の定め」を登記していない限り、登記所の職権で「株券を発行する旨の定め」が登記されています。
今までも上場会社でもない限り株券を実際に発行する会社はほとんどありませんでした。法律を実情に合わせた変更といえます。また、上場会社の株式でもいずれは株券という紙ではなく振替制度による株式のコンピューター管理を予定しているようです。
◆「当会社の株式については、株券を発行する」と登記されたので実際に株券を発行しなければいけないか?
非公開会社(株式の譲渡制限の規定のある会社)は株主から請求がある時までは、株券を発行しないでいることが出来ます。(会社法第215条第4項)
◆「株券不発行会社」になるにはどうするか?
定款にも株券を発行する旨の定めがあると看做されているので(整備法76条4項)定款を変更して株券を発行する旨の定めの廃止とその登記をしなければいけません。
その手続きは実際に株券を発行している会社と実際には株券を発行していない会社で違います。
◆手続きは以下です。
■ 実際に株券を発行している会社
- 株券を発行する旨の定款の定めの廃止の効力発生日を決定
- 上記効力発生日の2週間前までに公告し、株主及び登録株式質権者に 各別に通知(会社法218条1項)
- 株主総会開催―議案 定款変更 (会社法466条)
- 登記申請
【登記必要書類】
- 株主総会議事録(商業登記法46条)
- 公告をしたことを証する書面(商業登記法63条) *官報、新聞等
- 委任状
■ 実際には株券を発行していない会社
(まったく発行したことが無い会社 株券不所持会社)- 株券を発行する旨の定款の定めの廃止の効力発生日を決定
- 上記効力発生日の2週間前までに株主及び登録株式質権者に各別に通知(会社法218条3項)
- 株主総会開催―議案 定款変更 (会社法466条)
- 登記申請
【登記必要書類】
- 株主総会議事録(商業登記法46条)
- 株式の全部について株券を発行していないことを証する書面(商業登記法63条)
*株主名簿に代取の証明書を綴じて割印 - 委任状
●スムーズに手続きを進める方法
株主総会開催日を効力発生日にして、株主に対する各別の通知は2週間前に株主総会の招集通知に含めて発送する。
実際に株券を発行している会社は、あらかじめ公告手続きを進めて、株主総会開催日には2週間の公告期間が満了しているように設定すると株主総会開催日に効力が発生する。
株主総会開催日の次の日には登記の申請が出来ます。■ お薦め情報 法務担当者必見!
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法務省民事局付検事 葉玉先生のブログ
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私のデスクは鱗の山です。感動の涙です。 -
2006.06.09
銀行の払込金保管証明書が不要になりました
《今日のメニュー》
- 銀行の払込金保管証明書が不要になりました。
- あとがき 優勝しました!
◆株式会社の増資や発起設立の登記の際に、銀行の払込金保管証明書を添付しなくても良くなりました。
旧商法では、増資や設立の際には必ず銀行の払込金保管証明書を添付しなければいけなくて、銀行にお付き合いの無い新規設立をする方などは特に証明書が取れずに苦労をしていました。
ですから、会社設立の相談の時には
- 思いがけず、銀行の手続きに時間がかかること。
- 「払込金保管証明書を取りたい。」と銀行に行って、直ぐにその手続きの内容を理解してくれる銀行員に出会えたら、ラッキーである事。
- 一行でだめでもメゲルことなく、何行でもトライしてみる事。
- 銀行員も人間だから、就職面接を受けるような気持ちとスタイルで行く事。
などをアドバイスしていました。
それが、本年5月1日からの新会社法では増資や、発起設立の際にはこの払込金保管証明書を添付しなくても手続きが可能になりました。
では、何をつけるか?
「払込取扱機関における口座の預金通帳の写し」通帳のコピーです。
但し、確実に登記するには少々テクニックが要ります。
話題になった「1円会社」の設立の時にもこの証明書を付ける取り扱いが認められていたのですが、その時は「出資の割当を受けた者からそれぞれの株式の価額に相当する金銭が当該口座に入金されたことが確認できるもの」とされていました。
その手続きを踏襲すると思われるので
通帳には払込期間を定めればその期間に、払込期日を定めればその日に割当を受けた者の名前が分かるように入金する必要があります。
ですから新規設立の場合には残高「0」の通帳を作り、ただ入金をするのではなく割当人名で振り込む。
増資の場合は会社名義の通帳に割当人名で振り込む。
この時、振り込み手数料は、振込み人負担でないと、株式の価額に相当する金銭の入金にならないし、期間がずれて入金されると他の入金と判断されます。
株主になる方達にその点の終始徹底が必要です。
で、この通帳のコピーに会社の代表者の作成した払込取扱機関に払い込まれた金額を証明する書面を重ねて、ホチキスで綴じて割印をします。
◆あとがき
優勝しました!!
先日の沼津ゴルフクラブでのBクラス月例杯で優勝しました。参加者77名 前半42 後半44 グロス86
2位の人も3位の人も同じスコアでしたが、ハンデでなんとか勝ちました。でもうれしー!しばらくは、ひとたびこの話題に水を向けると
「優勝を意識しない精神の保ち方」 だの
「飛距離を伸ばすドライバーの打ち方」 だの
いっぱしの事をかましますので、ご注意下さい。 -
2006.05.23
有限会社から株式会社への変更手続きが簡単になりました。
「有限会社を株式会社へ変えるのに純資産の証明書はどう作るのですか?」という質問をいただきました。
確かに旧商法では有限会社から株式会社へ組織変更するには、純資産として金1000万円以上あることが必要で、登記にはそれを証する貸借対照表が必要でした。そして多くの有限会社はそのハードルをクリアできず、株式会社への組織変更が出来ないでいました。
また、株式会社に組織変更するには旧商法では取締役が3名以上、監査役が1名以上必要でしたので、取締役1人の有限会社などは他の役員を補充できずに、組織変更をあきらめていました。
それが改正会社法が施行された本年5月1日からは純資産が1000万円あることが必要という要件は無くなり、また、取締役3名以上監査役1名以上という機関設計の制限もなく、そのままの体制で株式会社になることが出来るようになりました。
ですから、今では資本金300万円、取締役1名の有限会社は資本金300万円、取締役1名の株式会社に変更する事が可能です。
また、資本金1円の確認有限会社も資本金1円の株式会社に変更が可能です。
◆有限会社の株式会社への以降手続きは以下です。(整備法45条、46条)
- 株主総会の開催
議案 商号変更 有限会社○○から株式会社○○へ変更
株式会社の定款の承認(新たに定款を作成することが必要) - 会社実印の発注 株式会社の印鑑を作成
- 登記申請(1件目と2件目を同時に申請)
1件目 商号変更による設立 登録免許税 資本金の額の1000分の1.5
それが3万円に満たない場合は3万円2件目 商号変更により解散 登録免許税 3万円
- 登記必要書類
株主総会議事録
定款
委任状
代表者の個人の印鑑証明書(3ヶ月以内) 1通
改印届け用紙
◆編集後記
新しい会社法の世界はサプライズの連続です。旧商法でいう「第三者割当」、新会社法では「募集株式の発行」と言う事になりましたが、その議事録等、必要書類一式を条文から作成してみました。学者さんは概念を論じていれば良いですが、司法書士は「手続きは?」「議事録の文言は?」「で、それで登記できるの?」と実際に会社法を使う手続きです。「現場最前線」ホントにそんな感じ。 - 株主総会の開催
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2006.05.12
新興上場企業に思わぬ影響
◆譲渡制限の無い資本金1億円以下の株式会社の監査役の任期は改正会社法施行時に任期満了する。
この件に関して以前(4月10日のブログ・カテゴリー 監査役)にも書きました。
株式の譲渡制限の設定の規定の無かった頃に設立された資本金1億円以下の古い会社が問題になると書きました。実際に、この問題を回避するために会社法施行前に急ぎ臨時株主総会を開催して株式の譲渡制限の設定の登記をした会社もあります。
しかし、新興上場企業も問題になるようです。
日本経済新聞に「5月1日施行の新会社法が新興上場企業に思わぬ影響を及ぼしている。」と東証マザーズ上場の株式会社の例を掲載していました。
この会社のホームページのIR情報によると、
平成18 年5 月1 日付の会社法の施行に伴い、従来の会計監査権限のみの現任3名の監査役は任期満了の取扱いとなり、監査役の法定員数を欠くこととなりました。現在、監査役の人選を慎重に行っており、人選が確定次第、東京地方裁判所へ仮監査役選任の申請を行う予定、ということです。
この会社は、平成17 年12 月の増資により現在は資本金が1億円を越えて小会社(資本金1 億円以下かつ負債総額200億円未満の株式会社)ではなくなりました。
しかし、その後最初に到来する決算期の定時株主総会の終結時点までは小会社特例規定が適用されます。(商法特例法26 条1 項)
従って、この会社の監査役は会計監査権限しか無く、新会社法が予定する業務監査権限が無いので監査役は新会社法施行の本年5月1日に退任する事になりました。で、本年5月1日には監査役がいないことになりましたので、こういう会社は急ぎ臨時株主総会を開催して監査役を選任するか、臨時株主総会の開催が困難な時は裁判所に仮監査役の選任を申請することになります。
[注意!]
顧問先を抱える会計事務所、新興上場会社の総務、法務部門の方、会社の登記簿を確認して下さい。現在資本金が1億円以上の会社でも商法特例法26条1 項の適用があって監査役の任期について公開小会社と同じ扱いになる場合があります。 -
2006.05.02
どういう会社を設立するか
■ どういう会社を設立すれば良いでしょうか?
そういう質問が多くなりそうです。
新会社法のもとでは、株式会社は資本金は0円でも良い。
取締役は1人でもOK。監査役もいなくても良い。
以前は、資本金1000万円以上、取締役3名以上、監査役1名以上。
と、お仕着せの会社を作れば良かったのですが、自由になるとかえって迷う。そんな状態です。■ では、会社を設立するうえでの判断基準は?
- 意外と旧法の会社の機関設計の資本金1000万円以上、取締役3名以上、監査役1名以上というのに引っ張られるような気もしています。
なんとなく 安心で。 - 許認可が必要な会社では先にその許認可用件を調査しておく必要があります。
- 創業支援の融資を受けるという事を考えている会社は、その条件を確認しておく必要があります。
- 会社の所属業界で、取引相手として相手にされる位の規模にする必要もありそうです。
- 新会社法が想定しているのは、新規事業の立上げを簡単にして起業の支援をする事のようですので、とりあえず手持ち資金、手持ち人材で会社を立ち上げて、2、3、4の条件にあう会社に育てるという方法もあります。
- 意外と旧法の会社の機関設計の資本金1000万円以上、取締役3名以上、監査役1名以上というのに引っ張られるような気もしています。