有限会社
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2006.12.09
有限会社でいる事のメリット、デメリット
■ 今日のメニュー
■■━━━━━━━━━━━━━━━━- 有限会社でいる事のメリット、デメリット
- 基本的人情 長勢先生の法務大臣就任祝い
- 有限会社でいる事のメリット、デメリット
◆本年5月1日に改正会社法が施行されたことに伴う一番の変化は有限会社が新しく設立できなくなった事です。
そして、今までは有限会社を組織変更して株式会社にするには、会社に純資産として金1000万円以上必要だったり、取締役が3名以上、監査役が1名以上必要というハードルがあったのですが、それも無くなり、株式会社に移行する手続きが簡単になりました。
◆では、有限会社は株式会社にしてしまった方が良いのか?
結論から言うと、
現状のままで会社運営をしていこうと思うのなら「有限会社」のままでいる事をおすすめします。なんてたってもう有限会社は1社も新規設立が出来ません。
希少価値が出てくるのではないか、いぶし銀の魅力が出てくるのではないかと、思っています。◆有限会社でいる事のメリットは以下です。
- 法律上は「特例有限会社」という扱いになり、有限会社法も無くなりましたが、商号として「有限会社」の文字を使用した商号の続用が認められています。
商号の変更をした場合、登記、諸届けなどの手続き、印鑑、名刺、看板、ホームページの変更、挨拶状の発送などかなりのコスト、労力がかかります。有限会社として存続すればその負担はありません。
- 役員に任期がありません。
株式会社では役員には必ず任期があり(会社法332条1項、336条1項)、任期が来れば役員構成が変わらなくとも、変更登記が必要です。
非公開の株式会社では、役員の任期を10年まで伸ばせますが、有限会社では任期自体がありません。役員が変わらない限り、変更登記の必要はありません。
登記手続きの煩雑さを避けられ、コストがかかりません。
- 決算公告が不要です。
通常の株式会社では、定時株主総会の終結後遅滞なく決算公告が必要です。
(会社法440条1項2項)有限会社では決算公告の必要はありません。(会社法440条)
- 一見して社歴が長い印象
平成17年5月1日から有限会社は設立できなくなっています。という事は「有限会社」であることで、それだけでそれ以前から存続している事になります。一見して社歴が長い印象をもたれる可能性があります。
「いぶし銀」の魅力が出てくるのではないかと思っています。
◆有限会社でいる事のデメリットは以下です。
- 株主間の株式の譲渡制限
非公開の株式会社では株の譲渡をする場合には、取締役会の承認か株主総会の承認が必要です。
有限会社では株主間の株の譲渡は自由です。株主以外の者に株を譲渡する場合のみ、承認が必要です。
株主間の譲渡が自由であるということは、会社の関与が無く、株の持分比率、株主の支配関係が変わりうることを意味します。
こういうことに危険性を感じる方は、非公開株式会社に移行する必要があります。
- 組織再編行為の限定
有限会社を存続会社とする吸収合併は出来ません。
有限会社を承継会社とする吸収分割は出来ません。(整備法37条)有限会社は株式交換、株式移転が出来ません。(整備法38条)
これらの組織再編行為をしようとする場合は株式会社に移行する必要があります。
■ あとがき
■ 基本的人情 長勢先生の法務大臣就任祝い
■■━━━━━━━━━━━━━━━━長勢先生がこの度法務大臣に就任されました。
私が所属している女性経営者の会「ドンネリベレ」では長勢先生と以前より親しくさせていただいています。
ある時は長勢先生の地元、富山の寒ブリを頂く会や、また遠慮も無く「では今度は富山のほたるいかで。」と言って、ほたるいか尽くしのお料理を頂く会をしたりしました。
その時にご紹介いただいた高橋はるみさんは今、北海道知事になっていらっしゃいます。
先生が内閣官房副長官の時にはあの首相官邸の見学をさせていただきました。
お話を伺って、いつも感じるのは論理的な話し方。
法律を作成したり、文書を作成したりと実務を長くやられてきたからなのかお話の一つ一つがお腹にストン、ストンと収まるような、「論点を指摘」それを「検証」、「組み立て」と、とても論理的なお話をされます。冗談もギャグもその調子で、だからとても地味な印象になります。
以前に「なぜ、政治家を目指したんですか?」と伺った時のお答えが、少年のように純粋で驚きました。
こんなまっとうな人はきっと権力競争に敗れて、政治の世界では偉くはなれないのではないかと失礼ながら思っていましたら、「法務大臣」です。
長勢先生のような地味でまっとうな方が「大臣」になられるなんて日本はまだ捨てたものではないなと思いました。先日のドンネリベレの「法務大臣就任祝い」では死刑制度から人権、外国人の不法在留問題、裁判員制度など法務大臣ならではのお話を伺いました。先生は「基本的人権」ならぬ「基本的人情」を大事にしましょうと仰っていました。
2次会では女性6人が残りましたが、長勢先生もお付き合いいただいてお話を伺うことが出来ました。
お別れの時の握手は、力強く暖かく、やはり政治家の方の握手でした。
お付きのSPの方は立派な体格で、SPバッジが胸にキラリ!
でも笑顔の優しい方で、「かっこいいぃぃー!」と思わず言ってしまいました。 -
2006.05.23
有限会社から株式会社への変更手続きが簡単になりました。
「有限会社を株式会社へ変えるのに純資産の証明書はどう作るのですか?」という質問をいただきました。
確かに旧商法では有限会社から株式会社へ組織変更するには、純資産として金1000万円以上あることが必要で、登記にはそれを証する貸借対照表が必要でした。そして多くの有限会社はそのハードルをクリアできず、株式会社への組織変更が出来ないでいました。
また、株式会社に組織変更するには旧商法では取締役が3名以上、監査役が1名以上必要でしたので、取締役1人の有限会社などは他の役員を補充できずに、組織変更をあきらめていました。
それが改正会社法が施行された本年5月1日からは純資産が1000万円あることが必要という要件は無くなり、また、取締役3名以上監査役1名以上という機関設計の制限もなく、そのままの体制で株式会社になることが出来るようになりました。
ですから、今では資本金300万円、取締役1名の有限会社は資本金300万円、取締役1名の株式会社に変更する事が可能です。
また、資本金1円の確認有限会社も資本金1円の株式会社に変更が可能です。
◆有限会社の株式会社への以降手続きは以下です。(整備法45条、46条)
- 株主総会の開催
議案 商号変更 有限会社○○から株式会社○○へ変更
株式会社の定款の承認(新たに定款を作成することが必要) - 会社実印の発注 株式会社の印鑑を作成
- 登記申請(1件目と2件目を同時に申請)
1件目 商号変更による設立 登録免許税 資本金の額の1000分の1.5
それが3万円に満たない場合は3万円2件目 商号変更により解散 登録免許税 3万円
- 登記必要書類
株主総会議事録
定款
委任状
代表者の個人の印鑑証明書(3ヶ月以内) 1通
改印届け用紙
◆編集後記
新しい会社法の世界はサプライズの連続です。旧商法でいう「第三者割当」、新会社法では「募集株式の発行」と言う事になりましたが、その議事録等、必要書類一式を条文から作成してみました。学者さんは概念を論じていれば良いですが、司法書士は「手続きは?」「議事録の文言は?」「で、それで登記できるの?」と実際に会社法を使う手続きです。「現場最前線」ホントにそんな感じ。 - 株主総会の開催
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2006.04.20
有限会社が無くなる?
■「有限会社が無くなるの?」「うちの有限会社も何か登記しなければいけないの?」という質問をいただきます。
◆今ある有限会社は無くなりません。
「特例有限会社」という事になりますが名刺の「有限会社」を「特例有限会社」に直す必要はありません。
とりあえず、ほとんどの有限会社は登記する必要がありません。改正会社法に伴う登記は登記所が職権でします。定款の記載事項も5月1日以降は変わります。しかしそれも変更したものと看做される事になります。但し、5月1日以降に定款を提出しなければいけない時は提出先によっては改正会社法に基づいて変更したものを要求する所があるかもしれません。その場合に備えて、株主総会を開催するような事があったら一緒に議案として「改正会社法に基づく定款の見直し」を入れて新定款を承認すれば良いと思います。
[法務の知恵袋]
新定款はこれから雛形になるものが出回るはずです。
法律改正後、少し経って細かい検討がされた後くらいに出た雛形を使うのが安心です。◆5月1日以降、新規に有限会社の設立は出来ません。
これは、4月28日までに有限会社の設立の登記申請をしなければ、それ以降の設立登記申請は受け付けられないし、それまでに設立準備として行った定款認証や出資の払込手続きも全て無駄になるということです。[有限会社に希少性?]
5月1日以降有限会社が1件も設立できなくなる事になるので、有限会社に希少性が出るかも?とか、有限会社というだけで社歴があるということになって価値が上がるかも?とか、いう話もあります。どうなるかは、しばらく経ってみないと分かりません。
ですから、有限会社を株式会社に変更する事が5月1日以降は今よりも簡単になりますが、少し様子をみる事をお奨めしています。有限会社を株式会社に変更してしまうと二度と戻せません。◆今、あせって有限会社を作る必要があるか?
特に有限会社で無ければいけない理由が無い限り、5月1日以降に株式会社を設立する方が簡単です。新会社法では資本金の制限はありません。取締役1人の機関設計が可能です。銀行に払込金保管証明書の作成をお願いしないで設立が可能です。